川上哲治とリーダー論

2018年07月19日(木)能力開発 

巨人軍の川上哲治監督と言えば、1965年代に日本シリーズ9連覇を達成した日本プロ野球史上に残る名監督です。彼の生き様から、リーダーについて考えていきましょう。

 

川上哲治の話|能力開発|ルシディチュード-灯台教養学部



川上哲治の生き様

今では名監督として野球史上に名が知られていてる川上哲治監督ですが、現役監督として采配を振るっていたころ、彼ほどマスコミやフアンから非難され続けた監督もいません。

巨人が試合に勝てば勝つほど、「選手の個性を奪う管理野球」「取材をシャットアウトする秘密主義」「堅実すぎてつまらない野球にした張本人」などど、新聞紙上やテレビで叩かれたのです。  

このため、川上監督の子供達は級友達から苛められて登校拒否になってしまいました。マスコミの報道からすれば、子供達の目には川上監督は犯罪者の悪者のようにうつってしまうのも無理はありません。このため川上監督の子供達は「悪人の息子」と言われ、学校から泣かされて家に帰ってくる毎日だったと言うことです。  

また、奥さんは心労のあまり神経性胃炎で入院、新聞の「川崎大師」の文字にも怯えるようなノイローゼ状態になってしまいました。

「急激にやせて行く妻が心配で、夜は病院に泊まり、朝の6時に帰宅して子供達を学校へ送り出していた。それは家庭の崩壊した地獄のような毎日だった」と川上監督自身が後に述べています。

 

しかし、こうした状況の中にあっても、自分の信念とする考えを曲げることなく、監督としての役割を果たし自分の信じる方針を貫いています。しかも、そのことについて監督在任中は、一切自分を弁護していません。

練習中の取材を拒否して、不評を買っていた「哲のカーテン」同様に、自分の立場についても一切沈黙すると言う「哲のカーテン」を張り巡らしていたのです。   それは組織を統率するリーダーが自分の行動について弁解すれば、それによって選手の心理に微妙な影を落とすことになるからです。  

さらに弁解すればどうしても他人の批判が混じります。現場の責任者が部下や上司について批判したとき、組織には団結がなくなります。チームワークで戦う野球であれば組織の団結を守ることはなおさら大切です。時としては、非難を受けながらも、沈黙を守ることも大切なことなのです。  

いったん嫌われてしまった人間が何の弁解もせずに沈黙を守り続けると言うことは大変つらいことであり、大変な勇気と信念が必要です。記者達は川上監督の心の苦闘を知ってか知らずか、巨人が勝っても負けても責め立てました。それでも沈黙を守り通したのですから、「傲慢」と言う印象を持っていた人もたくさんありました。本当に損な役回りを自ら買って出たようなものです。  

「永久欠番・背番号16」と言う、かってのプロ野球を代表するスター・プレイヤーにとってこれは耐え難いほどつらいことだったに違いありません。ただそんな非難ごうごうの的となっている監督でも、選手の立場から見れば、これほど頼れるリーダーはいません。いかなる状況においても巨大な岩石のような存在感と安定感を持つ統率者であると感じられるからです。すべての責任は監督が黙って引き受けてくれる。選手は思い切ってプレーが出来るわけです。  

川上野球は、選手達が喜んで川上監督に「管理され」プレーすることによって出来たわけです。それが世間からごうごうたる非難を受けながらも巨人が勝ち続けることが出来、日本シリーズ9連覇と言う偉業を達成できた理由ではないでしょうか?  

しかし世間はそう簡単には認めてくれません。巨人軍が強かっただけに川上監督は更に非難の的になったのです。

普通であれば、今自分の立場はこうだ、考え方はこうだ、と自分の身を守るために説明してしまうでしょう。それを頑としてやることなく耐え続ける。今に見ていろ、今に分かってもらえるときが来る。それまではいかなる批判も甘んじて受けよう。川上監督はきっとそんな気持ちであったのだと思います。

 

人生、己に忠実にまた誠意を持って生きようとすればするほど、誤解やら批判の的になることが多いものです。敵意を持って批判する人に対してはぐっとこらえて頑張るしかないのですが、これが肉親や親友等、こちらのことを本当に愛して考えてくれて(それでもこちらのことをきちんと聞いて理解してくれないと言うことにはかわりはないのですが・・・)いる人がこちらを理解していなくて批判していると、つい一生懸命説明して理解してもらおうと言う気になるものですが・・・  

しかし己の道を通そうと頑張っている時は、大抵いくらこちらのことをを心底考えてくれている人でも、理解してくれないことが多く、なまじ理解してもらおうと一生懸命説明すると、かえって誤解が大きくなるくらいなことが多いですね。  

そんな時は「理解してもらいたい」、「理解してもらおう」と言う気持ちをぐっとこらえて、機が熟するのを待つのが一番良いようです。



読後チェック

①こちらの意思や意図が通じないとき、どのような態度が望まれますか?

②川上監督の「哲のカーテン」とは、何を指しますか?

③この話から、リーダーにとっての教訓とは何だと思いますか?



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