葛藤がもたらすもの

2018年10月09日(火)能力開発 

挫折、ジレンマ、苦境などが続き、精神的なつらさを経験したことがある人は多くいらっしゃると思います。「なんでわたしだけ・・・」と嫌になったり、自分の運命を不安に思ったり。そうした葛藤には、理由があります。

苦しみにも理由がある|能力開発|ルシディチュード-灯台教養学部

 

葛藤がもたらすもの

人間の知性を測る一つの方法として、IQがあります。しかし、IQが高いことと、人間として成熟していることは必ずしも一致していない、ということは歴史や現在のさまざまな事件やその流れが示しています。

 

日本は現在、若年層の約半数が高等教育機関に進んでいますが、現在の日本が過去に比べて特別に繁栄しているとは考えられません。もちろん、物質的には多くの人は戦後満たされるようになりました。しかし、その物質的な側面だけを見ても貧富の格差は広がり続け、6人に1人の子どもは貧困状態にあります。そして何より、精神的・心理的苦しみからは多くの人が解放されてはいません。

 

こうした意味で、IQだけを人間の知性の判断材料にするには不十分であるということで、例えばダニエル・ゴールマンのEQや、Judith E. GlaserのConversational Intelligenceなど、新しい概念が生み出されています。

また、人間の総合的な知性の発達の重要性を理解したグループが、例えばTEDやWise Initiative、Mind and Life Instituteなどのムーブメントを作り出したといえるでしょう。

 

発達心理学では、思考と感情の両方をいかに動員し、知性を発達させるかを研究してきました。

その知性を高めるための発達段階において重要であるといわれるのは、「適度な葛藤」を経験することです。

 

適度な葛藤

「適度な葛藤」とは、以下のようなことといえます。

●挫折、ジレンマ、苦境などに追い込まれ、悩み続けること。

●自分にとって大切な局面において(人生において必要なときに)、自分がそれまで有効だと思っていた観念や通念が崩れ去ること。

●非可逆的な結果(例えば自殺や深刻な精神病)をもたらさないような何らかのセキュリティーがある中で、しかしながらそれから逃げ出せず、苦しみを軽くすることもできず、そのまま向き合うしかない状況に追い詰められ、アイデンティティー・クライシスを経験すること。

 

現在は、苦しみがあればすぐに取り除き、つらいときには即座に癒しを求める傾向にあり、またそれが至る所で推奨されています。

しかし、苦しみやつらさと向き合う真剣勝負が人生においては時には必要であり、またそれこそが苦しみやつらさを本当の意味で取り除く方法といえます。そしてそういった苦しみやつらさの中に人生の存在意義を見つけるためのヒントが隠されているのかもしれません。

本当に苦しい時はそんなことなかなか思えないとは思いますが、「この葛藤はわたしに成長をもたらすもの」という考え方を心のどこか片隅でも覚えておいてください。

 

保護者や指導者に求められるもの

また、葛藤を抱く部下や子どもを指導する立場としての上司や教師、保護者に求められているのは、葛藤を抱く当人がのアイデンティティー・クライシスに直面したときに、セキュリティーの役目をしっかり果たすことです。

それは、青少年スポーツで問題になったような体罰や職場のハラスメント等の形のようにサディスティックな行為を“しつけ”とすることでもなく、また当人が乗り越えるべき障害を代わりになくしてあげることでもありません。

当人が自分の力で葛藤と向き合い続け、乗り越えられるように環境を整えてあげることだといえましょう。

こうした状況がハウツー本のノウハウやテクニックでは補えないのは、人間存在の各々に個性と自我が異なる形であるからです。

自分の目の前にいるまさにその人と向き合う力が求められています。

 

読後チェック

①葛藤とはどんな状態ですか?

②葛藤は何をもたらしますか?

③子どもや部下が葛藤状態にある時、保護者や指導者は何ができますか?  




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