男性が女性の涙に弱い理由

2018年10月05日(金)一般教養 

「男性は女性の涙に弱い」、とはよく言われます。

その理由ではないかと考えられる2011年に発表されたイスラエルの科学者Shani Gelstein主導のある実験結果をご紹介します。

男性が女性の涙に弱い理由|一般教養|ルシディチュード-灯台教養学部

 


人間の涙はフェロモンを含む

2011年、『サイエンス』誌に興味深い研究が掲載されました。

取り上げられたのは、イスラエルの科学者Shani Gelstein主導の研究"Human Tears Contain a Chemosignal"(人間の涙はフェロモンを含む)です。

感動的な映画を見て泣いた女性から採取した涙の匂いを男性に嗅がせると、その男性はテストステロン値が減少し、性的興奮の度合いが低下したという研究報告が発表されました。

つまり、「男性は女性の涙に弱い」が科学的な研究結果として数値化された、といえます。

 

嗅覚は、鼻の中にある細胞が大気中に拡散する揮発性の化学物質を吸収し、その信号を受け取った脳が情報処理をしてさまざまなにおいに対する反応を起こします。

わたしたちヒトの鼻は、さまざまな化学物質に一対一で反応する数千の受容体が備わっており、その受容体の一つに対してたった一個の匂い分子が結びつくだけで、匂いを感知することができるのです。鼻の中にある受容体は、「古い脳」ともいわれる進化的に見たときに脳の中のいちばん古い部位にあたる脳の辺縁系に直結しています。

脳の辺縁系は情動や意欲、記憶や自律神経を司る働きをしているので、匂いは記憶や感情と強く結びつくのです。

 

上の実験で使用された涙は、みなさんもご自分の涙に匂いをかいでみればわかるように、匂いはしません。

嗅覚というとアロマや香水、食べ物の匂いのように自分で認識できるものばかりを想像しますが、この実験ではごくわずかな嗅覚の信号が心理状態に影響を与えている可能性を示唆しています。

 

この実験では仮説のもと意図的に状況を作り上げていますが、わたしたちは日常生活で集団行動を共にする中で、無意識にも心理的に影響を与え合っている可能性が高いこともここから伺えます。

フェロモンだけではなく、相手の微妙な表情の変化、言語、ノンバーバルコミュニケーションも含めて意識・無意識で判断しています。

集団ヒステリーやパニック状態、家庭内の不和も、単なる精神論や気持ちの問題ではなく、生物学的・認知科学的な理由にもあるのかもしれませんね。



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