さて、今日は探偵小説をテーマにしてみましょう。
有名なチャンドラーのマーローシリーズを取り上げます。
皆さんの中にも知っている人がいると思います。 そんなに難しくありませんから、皆さんも1冊手に入れて(もちろん、日本語訳ではなく、英文で!)時々気分転換に読んでみるとよいと思います。
マーローの次の有名なセリフをここでは問題にします。
「強くなければ生きてゆけない。優しくなければ、生きている資格がない」
先日もビジネスマン向けの本『帝王学』を読んでいたら、筆者が引用していました。
さて、このマーローの文章を皆さんはどういう意味で受け止めますか?
「モラルと現実世界の相克」だと受け止めますか? 『帝王学』の著者はそんな風に受け止めていたようです。
小説の中で原文は次のような形で、マーローとその女友達の会話になっています。
“How can such a hard man be so gentle ?” she asked wonderingly.
“If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.”
さて、ここで皆さんに考えてみてほしいのは、次のような点です。
まず原文は、I が言っていることです。一般論ではないのです。彼のおかれた特殊な状況の話です。 日本語訳の場合には、日本語が主語を省くことが多いので、一般論なのか特殊な話なのかは、一部分を取り出してしまうとわからなくなってしまいます。 そうした一般論や人生観が日本の読者の心を打つようです。
ここはマーローが自分のことを語ったと考えるほうが興味深いのか、人間の一般論を行ったと考えたほうが面白いのか? 皆さんはどう思いますか?
次に文章の中で使われている “hard” の意味は何でしょうか? 日本語訳のように「強い」でしょうか?
Oxford の英英辞典では、”hard” は次のように説明されています。
*putting a lot of effort or energy into an activity
*done with a lot of strength or force *showing no sympathy or affection
*ready to fight and showing no signs of fear or weakness
だいぶニュアンスが違いますね。 “alive” も強くなければ生きてゆけない、なのか、非情でなければとっくに殺されて生きていないよ、というニュアンスなのか?
さて、こうしてわたくしの提出した質問をヒントにして、皆さんに自分で考えてもらい、自分流の解釈を1ページくらいにまとめてください。 それが今日の私の宿題です。 いい回答ができたら、「きっと勝つ!」のチョコレート位プレゼントしますよ !
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