現在完了形

レベル:初級~中級
英語力をつけるには

今日はこんなお話から始めましょう。

皆さんが日本語を話すときには、「あなたは日本語が上手ですね」とか「テストの成績は上々でしたよ」といわれるために日本語を使っているわけではありませんよね。 何か話したいことや伝えたいことがあるから、日本語をしゃべり、書きたいことがあるから、書くのです。これは皆さんが勉強している英語でも同じことです。英語を話したり書いたりしている人は、人に伝えたいことがあるからそうしているのです。その相手の伝えたいと思っていることを理解しようとせずに機械的にマニュアル通りにやってもテストの点数が少々上がっても、英語は上達しません。

 

たとえば西部劇で、賞金稼ぎに負われているカウボーイがこう言ったとします:

-They won't take me alive.

皆さんはどう理解しますか? 「奴らは俺を生きたままではとらえるまい」 そうですね。文法的にはこれでよいのかもしれません。 しかしこれでは、賞金稼ぎに追われても、頑張って生きてきた男の気概というものが表現されていませ ん。

won't=will notのwillを、「~だろう」と、話し手の気持ちが冷静に未来を予測しているのか、意思のwillとして訳すのかでも、ニュアンスが違ってきます。 もっと、「生きているうちは、捕まってやるものか」 というニュアンスを強調して理解することもできるわけです。

こんな文章はどうでしょう。   
-He could do no wrong. 「彼は悪いことなどできる人ではない」

文法的にはそれで間違っていませんが、これがどこかの国の独裁者や権力者に対して言われたことだとするとどうでしょうか?
「彼は何をしても悪いことをしたとしてとがめられることはない」という意味かもしれません。 権力者だから彼のすることはどんなに極悪非道なことでも常に無理ごもっともで通ってしまうという意味でもとれます。

これはもう文法だけからは判断できないことです。
外国語を学ぶときには、大きく分けて二通りの人がいます。
一つは外国語の表現をなんでも日本語のパターンに当てはめて考えなければ気がすまない人です。 要するに日本語や日本のカルチャー以外には考え方や感じ方が存在しないと思っている人です。
もう一つは、外国語の背後にある外国のカルチャーを理解しようとする人。 日本人である自分の中にはない考え方でも、相手のありのままの世界を理解し、創造力を深めて、自分の内なる世界(これを環世界といいます。)を広めてゆこうとする人です。

外国語の文章を理解するためには、単に文法的に正しい理解をするだけでは不十分で、話している人の文化や性格、動機、見ている世界までも正確につかもうと努力しないと文の真意はつかめない、ということです。

この考え方は、受験勉強だろうと、ビジネス英会話だろうと、いつも頭の片隅に入れていると、英語の上達に役立ってくれるでしょう。

さて前置きはそれくらいにして、上記のような英語のカルチャーの発想ということを常に頭の片隅に置きながら、英文法での一番厄介なものの一つである「完了形」を勉強してみましょう。


完了形について
  問題           

次の文章を日本語に訳しましょう。また、二つの文章にどんな違いがあるのか、説明してください。

  • (1) I've just finished my homework.
  • (2) I finished my homework.

  • この二つの文章は、何が違うのでしょうか? わかりましたか?

     

    どちらも、自分は「宿題を終えた」ということを言っています。

    しかし、完了形の場合には、その宿題を終えたということが話者の心理の中で”今”それを話している現在に気持ちの上でつながっているのですね。

    たとえば、「宿題を終えたから、散歩に出よう」とか、考えている場合ですね。

    それに対して、過去形の場合には、 たとえばお母さんに、「宿題は終えたの?」と聞かれて、 単に「宿題は終えたよ」というだけで、それが現在にはつながってこないんですね。 過去の事実を自分の感情とはつなげず客観的な出来事として言う時には、過去形を使います。

     

    こんな例はどうでしょう。

    友人宅でお茶をしているときに、その家の人がこう言ったとします。

    - I've put sugar in your coffee, but I haven't stirred it.

    ここで完了形が使われているのはコーヒーの中に砂糖を入れてまだかき回していない、という話者の行為が話者の頭の中で現在につながっているということですね。

    きっと話者の頭の中には、「ですからご自分でかき回してくださいね」というようなことが浮かんでいたはずで、実際にそう言うつもりなのかもしれません。

     

    次のような例はどうでしょう。

    お風呂に入ってきれいになって出てきた子供が、ほんのしばらくのうちにいたずらをしてすっかり泥だらけになってしまっているのを見て、お母さんがこう言います。

    -Look at you ! You've just had a bath and now you are filthy.

    これはお母さんの心理の中では、子供はお風呂に入ったばかりだから、その行為が現在の彼女の心理の中ではつながっている、だからきれいなはずなのに、もう汚いんなんて、という気持ちが「完了形」の使用で現れているんですね。

     

    ついでながら、完了形の例文として、よく”have been to 場所”で教えられると思います。 この"I have been to Kyoto." は「京都に行ったことがある」と教えられることが多いのですが、この形でも京都に行ってきたところだという完了形の意味もありますから注意しましょう。

    たとえば、 We've been to Kyoto and now we're going to Tokyo. とあればこれは、 「私たちは京都へ行ってきたところで、これから東京へ行きます。」  の意味ですから、have been to Kyoto は経験ではなくて完了を表しますね。

     

    完了形と一緒に使えない単語

    また、完了形は話者が心理的に現在とのつながりで使っていますから、はっきりと過去を示す単語とは一緒には使えませんね。

    たとえば、ago です。

    -John left a few minutes ago.

    とは言えますが、

    - John has left a few minutes ago.

    と完了形を使うとこれは間違いです。

     

     同じように、過去の特定の時をたずねることになる、when これも完了形とは使えません。

    - When did you see her ?

    とは言えても、

    - When have you seen her ? といえば間違いです。

     

    これに反して微妙なのが、today, this morning, week...といった過去と現在につながっている単語です。

    たとえば、

    -I haven't seen him this morning.

    -I didn't see him this morning.

    この場合には過去形と完了形の二つが可能です。

    this morning がまだ終わっていないお昼前位の発言でしたら、完了形でも可能ですが、過去形の発言はきっとお昼過ぎのものでしょうね。

     

    どうですかみなさん、完了形の話者の心理わかってきましたか?

    そうした話者の心理をつかんで自分のフィーリングにする為にはできるだけ多くの文章に接して、その時にこうした理解の仕方を常にするように努力することです。 辞書の例文をたくさん読むとかするといいですね。

     



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