平面の分割

レベル:大学入試

皆さん、お元気ですか? ぎょろめです。相変わらず毎日暑いお天気が続いていますが、それでも夕方になるとあちこちから虫の声が聞こえてくるようになりましたね。

 

前回の数学の基礎ともいえる問題『平面の分割』を皆さん、少し考えてみましたか? 

人生はもちろんのこと、数学や物理も答えは一つではありません。アインシュタインは彼の答えを見つけました。ニュートンもそうです。皆さんも常に自分の答えを見つけるという経験を積んでいって、自分の人生の素晴らしい道を見つけてくださいね。

今日はまず前回の問題を解いてしまいましょう。

 

平面の分割

直線が一本の場合には、円が二つの部分に分割されるというのは、まあ明らかとしてもよいですね。

したがって今n本の直線で円が最大戸数に分割されるときの領域の数を S(n) とすると、 S(1)=2 となりますね。

n本の直線で円が分割される最大の領域の数は S(n) です。ここから出発して S(n+1) を求めてみましょう。

 (n+1) 番目の直線に着目します。

ここで前回の注意にあった、全ての直線はお互いに並行ではない、ということと、3本の直線は同一の点を通らないということがきいてきます。 こうした直線が本当にひけるのかということを皆さんは考えてみましたか?

直線が2本あるいは3本くらいでしたら、こうした条件の直線群が引けることは、まあ、見ればわかるといっても、証明として通るかもしれませんね。 でも、直線の数が1000本、10000本、10000000本と増えていったら、もう一本付け足す時には必ずどれかと平行になってしまうのではないかと、心配にもなりますね。 これはもう一つの条件、3本の直線は同一の点を通らないというのも、直線の数が100000000本くらいになると、必ずどこかで3本の直線が出会ってしまうのではないかという心配もありますね。 ここの部分も皆さんは、どう、クリアーしましたか?

集合論や測度論のことを読んでみた人は、点や線では次元が違うから加算個集めても全体を覆いきらないから、というようなところから論を進めようとした人もいるかもしれませんね。 でもここではそんな大ナタをふらずに簡単に済ませましょう。

問題の円の中に n 本の直線が上記の二つの条件を満たして引かれているとします。(つまりここでも数学的帰納法が使われていますね。)さて、同じく上記の二つの条件を満たしたように (n+1) 番目の直線をどう引くか?

とにかく円を構成している平面は有限個の直線群では覆いきれませんから、どこかに隙間がありますから、そこへ一つの点Pをかきましょう。

この点Pから、下図のように放射状に直線群をひきます。

平面の分割|数学|ルシディチュード-灯台教養学部

どうやって引くかというと、まずPを通って今までのn本のそれぞれの直線と平行な直線を引きます。これはユークリッド幾何学の公準で、直線外の一点からこの直線に平行な直線がちょうど一本引けるというということですね。

次にPからいままでのn本の直線が交わってできる点のすべてを、それぞれPと結ぶ直線を引きます。かなり多くの直線になりますが、それでも有限個です。

従ってこうしてできたPから出ている放射状の直線群とは別にもう一本新しい直線を引くことは可能です。それを (n+1) 番目の直線とすれば、これも上記の二つの条件を満たします。

さてそれではこの (n+1) 番目の直線を引いたためにどれだけ分割された部分が増えたかを考えてみましょう。

 この (n+1) 番目の直線は今までの直線のどれとも並行ではありませんから必ずどこかで交わります。

下記のように交点がn個できますね。それらを、 P(1),・・・・・・、P(n) として、円周との交わりを P(0),P(n+1)とします。下図のようになります。

平面の分割|数学|ルシディチュード-灯台教養学部

この直線の P(i) -P(i+1) の部分は今まで一つの領域だったものを二つの領域に分かちます。したがってn本の時から (n+1) 本になった時には、領域は今までよりも (n+1) だけ増えます。したがって、

 S(n+1)=S(n)+(n+1)

なる関係が出てきます。

S(n)= S(n-1)+n

S(n-1)=S(n-2)+(n-1)     

・・・    

・・・

S(2)=S(1)+2

左右両辺をそれぞれ足すと、次のようになります。

S(n)+S(n-1)+・・・・・+S(2)=S(n-1)+S(n-2)・・・・・+S(1)+2

両辺に現れる同じ項を消去すると、

S(n)=S(1)+n+(n-1)+・・・・・+2

S(1)=2

ですから、

S(n)=2+2+3+・・・・・+n=n(n+1)/2+1

となります。

これで一件落着です。どうですかみなさん、帰納法の便利で強力なことが実感できましたか?

 

少し脱線ですが、むつかしい問題を解くにはこうして帰納法を使って順次やるというのは一つの手段ですし、いつもこうしてコツコツやったほうがいいとは限らないことも多々ありますから、こだわらずに考えるということも大切ですよ。

難しい問題を一次元の場合、二次元の場合と、こつこつとこうとして行き詰まっていたときに、猛烈な一般化をしてその行き詰まりを解決するというような例も数学の歴史ではよくあることです。

人生の問題でもそうですね。何か問題に出会ってしまった時に、問題を簡単にしようとするのではなくて、そこから出発して大問題を自分に提起してそれを解くというやり方で頑張ったほうが、きちんと解けたなどということもありますよ。

 

さて今回の講座を終わる前に数学的帰納法も、必ずしも1,2,3,・・・・という考え方ではないほうがうまく解けるという問題を解説しておきます。

これはすでにだいぶ以前に提起しておいた問題です。

  問題

一つの天秤とそれぞれ 1, 3,32,・・・・・,3n-1 kg のn個のおもりが与えられたとする。何個かを一方の皿にのせ、別の何個かをもう一方の皿にのせることによって、この天秤で

N=(3n – 1)/2

以下のすべての整数値の重さをはかることができることを証明せよ。


これを数学的帰納法で証明してみましょう。

この天秤を使うということは、左右どちらのお皿にもおもりを載せられますから、測れる重さは次のようにあらわされますね。

s(0)+3s(1)+32(2)+・・・・・+3n-1 s(n-1)

ここで、s(0),s(1),・・・・・s(n-1) は、+1 あるいは -1 の値を取ります。

もちろんnに関する帰納法なのですが、ひと工夫すると証明がずいぶんやりやすくなるという例です。

n=1の場合には、1 kgのおもりだけですから、1kgしかはかれません。この場合は

N=(3n – 1)/2=1

ですから成り立ちます。

n-1 の場合に成り立つと仮定します。

さて、ここからnの場合に成り立つことを証明して帰納法を使うわけですが、ここでひと工夫します。

一般の自然数は、3で割った時に割り切れるか、1か2が余ります。したがって、Nは次のように書くことができます。

N=3t

N=3t+1、3t+2

この三つの場合を分けて考えるのです。

N=3tの場合。

今 N=3t≦(3n+1-1)/2 の場合に証明すればよい。すると、

t≦(3n-1)/2

となることがわかる。これは、

上記の不等式が、

3t≦3n+1 /2 – ½

t≦3n /2 – 1/6

となることとtが整数値しかとらないことと、3n /2 が整数値+1/2 の形になることに注意すればよい。

従ってtはn-1のケースになるから、

t=s(0)+3s(1)+・・・・・+s(n-2)3n-2

と書ける。すなわち、

N=3t=3s(0)+32 s(1)+・・・・・+3n-1 s(n-2)

と書ける。

同様に、N=3t+1, N=3t+2 の時もtが整数であることに注意すればtに関して同じ不等式が導かれて同じ結論が出せるので、nの場合にも成り立つことが導かれる。

これで数学的帰納法ですべての自然数について成り立つことがわかります。

そのままではなくて、少し工夫して数学的帰納法を使うというやり方、理解できましたか?

 

この問題では、3のべき乗の分銅でしたが、これが4のべき乗は7のべき乗の場合にも成り立つか自分で確かめてみてください。

2の冪はよく言われるようにコンピュータで使われている数字ですね。8や16の冪も良く使いますね。

これをさらに一般化して任意の素数pの冪で考えるのがいわゆるp進数です。p進数の世界はまたいろいろと面白いことがあるんですよ。

 

どうですかみなさん、数学の考え方、自由性、面白くなってきましたか?

 



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