数と論理

レベル:大学入試

皆さん台風や地震で大変ですが、お元気ですか? 今日は少し変わった問題を引用します。2001年の京都府立医大の問題です。

 

京都府立医大入試問題
  問題

0ではない複素数からなる集合 G は次を満たしているとする。

Gの任意の要素 z, w の積 zw は再びGの要素である。

(1)ちょうどn個の要素からなるGの例を挙げよ。

(2)ちょうどn (n ≧ 2)この要素からなるGを求めよ。



 

【解説】

教室で先生がこういう問題を出して話を発展させるのは大変面白いことで、良いことだと思うのですが、皆さんの将来がかかっているような入試の問題としては、私はあまり感心しませんね。

皆さんの中にもいると思いますが、数学が好きで「群論」とか「数論」といわれる分野の解説書を読んだことのある人なら、どこにも出てくる群論や1の冪根の話ですから、知っている人には30秒もあればできることです。

知らない人は考えますからずいぶんと時間に差ができてしまいますよね。

入試問題としてはあまり感心しないけど、やってみていろいろと考えてみると面白い問題といえるのかもしれません。

複素数 z = cos t + sin t が複素平面上では半径 1 の円周上にあり次の公式が成り立つことを学びましたね。

zn= (cos t + sin t)n = cos (nt) + sin (nt)

これを使えば、半径 1 の円周を n等分すれば、 これらの n 等分点は ちょうど n 個よりなりお互いをかけたものはまたどれか他の等分点になることを知っていますね。

ですから、

G={ cos (2π/n)k + sin (2π/n)k k= 1,2,・・・・n}

とすれば一つの解が出てきます。

(2)はこれがすべての解であることを言いたいわけですね。

G = {z1 , z2, ・・・・・ , zn }

とおきます。

今Gの元を一つ任意にとります。それをw としましょう。するとGは0を含みませんから、

wz1 , wz2 ,・・・・・ , wzn

の n個は全体として n 個のちがった元となります。なぜだかわかりますか?

もしも、 wzi = wzj だとすると、 w ( zi – zj )=0 となりますから、Gはゼロを含みませんから、 w ≠ 0 。したがって、 zi - zj = 0 つまり、zi = zj  となります。

つまり、

z1 , z2 , ・・・・・ , zn  と wz1 , wz2 ,・・・・・ , wzn  

は全体として一致します。

従って、

z1 , z2 , ・・・・・ , zn = wz1 , wz2 ,・・・・・ , wzn = wn z1 ・z2 ・ ・・・・・ ・ zn

となりますから、 w は1 の n乗根であることがわかります。

つまり、

G ⊂ {1 のn 乗根}

左辺も右辺も n 個の元を含みますから、

G={1 の n 乗根}

となることがわかります。

 

どうですかみなさん、わかりましたか?興味の湧いた人は群論や数論の本を読んでみるとよいと思います。

有名な数学史上最も美しいといわれたガロワの理論もこうして定式化されていったのですよ。



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